おやつにまつわる短編。
詰まっているのはおやつを介して紡がる人と人の物語。物語とまではいかないまでも物語の一部分である。母・父・娘・息子・兄・姉・女友達に老年夫婦、孫やいとこや叔母という自分にとって近しい人達の間で普通に交わすなんてことないやりとりに「おやつ」を登場させ、世知辛い部人生や、理不尽さや手持無沙汰な隙間におやつはすうーと溶けていく。
会話の言葉使いが非常に上品。毒舌な部分も出てくるけれど、日本語でしか言い表せない(英訳するのが難しい)表現が風流だなと思う(それを解説では「粋」と言っている)角がなくすべりおちるようななめらかさがあっていい。
スーパーやコンビニに売っているお菓子では描けないまあるい世界が広がっている。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
短編集
- 感想投稿日 : 2012年9月23日
- 読了日 : 2012年9月22日
- 本棚登録日 : 2012年9月23日
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