雉猫心中 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2011年11月28日発売)
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本棚登録 : 119
感想 : 17

プロローグとエピローグに挟まれた第一部と第二部が「おわりのはじまり」と「はじまりのおわり」と名付けられていて、それぞれ女性の語りと男性の語りになっています。同じ出来事を別の視点から再体験することになるのですが、二人の感じ方の違いには驚かされます。

女性は元教師で、現在は数学教師の夫と一緒に暮らす専業主婦。男性はネット中心の古本屋で、税理士の妻と中学生の娘との三人暮らし。つまり二人は不倫の関係にあるわけですが、よくある不倫の恋モノと違ってこの本は、日常と隣り合わせにある不思議が今にも頭を擡げてきそうなズレた印象があります。最後まで読んでもどこがズレていたのかよく分からず、読み返すとさらにズレが広がっていくような感じです。登場人物はみんなどこかおかしいのに、どこがおかしいと明確に指摘できないもどかしさ。うまく説明できないこの感じ、決して嫌いではありません。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 恋愛
感想投稿日 : 2012年1月10日
読了日 : 2012年1月7日
本棚登録日 : 2012年1月10日

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