フーゴが主人公という事で、華々しい活躍があるのかな、と、読む前に期待したのですが、いい意味で裏切られました。
この作品は、フーゴの心の戦いの物語だった。
彼がかつての仲間の事を思い出し、あの時どんな気持ちだったのだろう、と考える姿には、胸に来るものがありました。
死んだ人というのは、残された人間にとてつもない楔を打っていくものです。
もうあの時どんな事を思っていたのかなんて、絶対に聞く事は出来ない。
でも、もし生きていたとしても、フーゴがナランチャやブチャラティたちに、あの時どんな気持ちだったかと、聞く事は絶対にありません。
彼が心の中で人の気持ちをすくい、向き合っていく姿に非常に心打たれました。
相手を理解したい、知りたいという気持ちは、世界に対して無関心なんかじゃ絶対にない。
ジョルノが半歩を埋めたように、そうしてフーゴも半歩、相手を理解しようと進み寄る。
バトル的には敵が多すぎて、さらりとしたもののように感じましたが、フーゴの心情が描かれたこの作品で、このキャラクターが昔よりも理解でき、好きになれました。
あと、気になったのがジョルノの役割。
五部の主人公でありながら、この作品ではあまり姿を見せません。
ですが、最後のシーンは台詞と共に強烈な印象を残す。
開店前のレストランや閉館された図書館。どちらもはっきりと姿を見せない場所。
それが、かつての三部の闇の中に潜むDIOのようなミステリアスさがあり、繋がりを感じました。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
JUMP J BOOKS
- 感想投稿日 : 2016年5月10日
- 読了日 : 2016年5月10日
- 本棚登録日 : 2016年5月10日
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