うつ病休職 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社 (2017年5月16日発売)
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職場の同僚にうつ病の方がいるので、うつ病のことをもっと知りたいと思い購読した。
ここ数年でうつ病患者は急増している。うつ病の診断方法が不鮮明になったことと薬の変化が原因だといわれている。簡単に言うとうつ病のストライクゾーンが広まったため。それに伴ってうつ病休職が増え、深刻な社会問題となっている。会社側は本来、長時間労働、パワハラなどの労務問題が原因であるにも関わらず、休職という形で問題をすり替えている。労働者にとっても、とりあえず休めるし、お金も貰えるからwinwinな関係が成り立ってしまう。
手っ取り早くうつ病と診断してもらうには、若い医師や心療内科を受診するといいらしい。診断書をもらうために数件ハシゴすることもあるとか。
実際にはうつ病ではなくて、抑うつ状態の人もうつ病と診断されることが多いらしい。抑うつ状態とは、簡単に言うと誰にでもある気分の落ち込みのこと。
会社は簡単に解雇はできないから、しっかりと休職をさせたという事実がほしい。
企業には安全配慮義務上の問題もあるし 、もし解雇すれば解雇権濫用になる 。だけど診断書をとって十分な期間病気休職させていれば 、 『ここまでやったけど無理なんだから仕方ないよね 』ということで説明がつく。
休職の制度を利用して、ちょっと出勤してまた長期間休むを繰り返す悪い人もいる。企業の負担は社会保険料の企業負担分だけなので大した痛手にはならない。結局企業は大した痛手もなく、ツケは国民に払わせている。
今回、会社の同僚は三週間程度休職して、転勤となった訳だが、1つ腑に落ちないことがある。休職期間中は個人の有給を使用するように指示されていた。この本の通りであれば、公休で傷病手当金を支給されるべきではないだろうか。うつ病患者がでたとなれば、会社の評判が落ちるから有給で誤魔化して転勤させたのかなと邪推してしまう。
うつ病で本当に苦しんでいる人がいる一方で、簡単に診断書を出す医師、労務問題を解決しない企業によって休職する人が増える事が一番の社会問題であると思う。



診断書問題・・診断書をもらって休職することでサボれる。傷病手当金、障害年金で経済的利益を得る、問題の解決から回避できる、といった3つのメリットがある。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年6月29日
読了日 : 2017年6月28日
本棚登録日 : 2017年6月28日

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