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むつかしい本はあんまり読めません。
レビュー by DIVEさん
“一つの微細な罪悪は百の善行に償われる”
独自の思想を持つ貧しい元大学生ラスコリーニコフは金貸しの老婆を殺害し、荒んだ世の中の為に役立てようと計画する。
誰もが題名とあらすじは知っている世界的名作と呼ばれる大作にトライ。
登場人物の名前の複雑さと長さに返り討ちに。
主人公の名はロジオン・ロマーヌイチ・ラスコーリニコフ。
第三者の視点で描かれる本編中では主にラスコリーニコフと表記される。
~ちゃん。~っち。~さん。
と日本に愛称や敬称があるように、登場人物により彼の呼び名も変わる。
ロジオン、ロージャ、ラスコリーニコフ・・・。
これが全ての人物にも当てはまるからさぁ大変。相関図が必要。
ラスコリーニコフはプライド高き元法学生。貧困の為に休学し、家賃滞納中のボロアパートで寝起きしている。
“ひとつの罪悪は、百の善行に償われる”“凡人と非凡人”という独自の思想、理論を持つ彼はある日、傲慢な金貸しの老婆の存在を知り、本当に必要とされる場所にお金はあるべきで、使用されるべきであるという考えに至り、入念な準備と偶然の産物により老婆の殺害と逃亡に成功する。
しかし、無関係であったはずの第三者まで殺害するはめになり、彼の罪意識は理論の壁を超えてしまう。
自分の犯した行為と正義と信じた思想に一喜一憂するラスコリーニコフは隣人、友人、母と妹、娼婦や判事と関わりを持ちながら常軌を失っていく。
ラスコリーニコフが強大な罪の意識を背負い他者と交わるクライム・サスペンス要素あり、貧しく、不幸でありながら聖女のように生きる妹、ドゥーネチカや娼婦のソーネチカとの愛の物語要素あり、証拠のない事件をゼロから追及する判事ポルフィーリィとの心理戦要素あり、現実にある矛盾を突いた社会批判的要素ありの盛りだくさんの上・下巻。攻略には諸々の事情で時間がかかる。
カミュの「異邦人」ほどの衝撃こそないものの、一個人が殺人に至るまでの経緯や心情が生々しく事細かに描写されるため、読み手もすっかり罪と罰を背負わされる羽目になる。
世間一般で言う「罪」とは何か。「罰」とは何か。
幸せを求め真っ当に生きることの難しさ。それを端から見る愚かしさ。
母子の関係。友人の思いやり。他者の追及。
じっとりと汗を掻きつづけるような果てない潜伏期間はいつまで続くのか。
罪と言う横軸と、罰と言う縦軸の交差した場所で苦悩の直射を浴びる主人公への救いは、果てのない償いしかないのか。
では償いとは何か。
回転下降していくラスコリーニコフに相当の報いと僅かな希望が残されるが、当時と現代では今作の受け取り方が違うかもしれない。
罪も罰も感じられない現代のラスコリーニコフ達には決して与えてしまいたくない希望。彼らには大盛りの報いを。
フョードル・ドストエフスキー その他の著書
・虐げられた人びと
・カラマーゾフの兄弟
・白痴
などなど。
レビュー登録日 : 2011年03月30日
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