道化師は恋の語りべ (ハーレクイン文庫 90)

  • ハーパーコリンズ・ジャパン (2007年6月1日発売)
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感想 : 5
5

以前に藤田和子先生のコミック版を読んで大いにはまったのですが、
今回破格の値段で小説が売られていたので
結末は知った上で読んでみましたが......
やっぱりいい!!
この話、凄くいいよ!
こんな名作埋もれさせておくなんて、偉い人は何をしているんだろう。

19世紀イギリスが舞台っていうのが大好きで
今までハーレに関わらず読んでいるけど、
(某執事漫画などの逸脱した設定の漫画は除くとして)
この道化師は恋の語りべという作品のヒーローとヒロインは
今までにない階級の隔たりがあり、そしてヒーローが下級階級に属するという
物語ののっけから先が読めない、特異な作品です。

いや、
この手の舞台で進められる作品は必ずといって男性側が爵位持ちだったり裕福だったりして
そこそこの階級の貴婦人or少しばかり階級が下の女性と恋に堕ちるっていうのが
絶対的なセオリーなの。
だって、階級社会だから!階級こそ絶対だから。
私が愛して止まないエマだって、ここまで階級の差は無いし
坊っちゃん側がジェントリだもの。

まぁ、そのセオリーを覆して
道化師と女王の名付け子が恋に堕ちる訳なんだけど、
あぁ、ヒーローの良い男っぷりも素晴らしいし
何て言うか愛を貫く姿が強くて素敵。
ヒロインもヒロインで、最初から最後まで一貫して可愛らしい。
うん。一般的な可愛らしいでなく、健気っぷり?一途っぷり?が愛らしい。

道中の冒険も
この時代物が好きな人にはたまらないね。
ヒストリカル小説っていうと殆どが
夜会とか屋敷内の上流社会しか描かれていないから
酒場とか調理場が出てくるシーンは少ないもの。
罪の無い娘っ子達との戯れなんて、ちょっと他にないよ。

まぁ、何と言ってもこの作品の素晴らしいところは
想像のつかないエンディングなんだけどね。
最初に言った通り階級の違いからあり得ないカップリングだから
これをめでたしめでたしに持っていくのは....
読む方の愉しみを奪うような真似はせず、レビュはここまでにしておこう。

読んで悔いなし間違い無しの作品です。
一度、ご賞味ください。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ロマンス
感想投稿日 : 2012年12月16日
読了日 : -
本棚登録日 : 2012年12月16日

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