見張り塔から ずっと (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1999年8月30日発売)
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本棚登録 : 1159
感想 : 118
4

人の弱さや脆さや狡さや嫌な部分が包み隠さず書かれている。
それを他人事のように読んでいるこちら側にだってきっと嫌なところがあるはず。
自分の中のそういった部分を仕方がないと思うか、そういう自分が嫌いだと思うかはそれぞれが勝手に思えばいい。
つくづく人間は面倒くさいなと思う。

[カラス]
自分の不満を他人にぶつける事で晴らそうとし、それでいきいきしたところで後に残るのは何?
ホンの些細なきっかけでぶつけられる側になるだけで儚さしか感じない。
[扉を開けて]
ラストの数ページは怖かった。まさか?と多いながら何度も読み返したがそのまさかなのだろう。
妻や夫の追い込まれて行く気持ちはわかるけれど。
[陽だまりの猫]
みどりさんを作り出す事によって現実のあたしから逃げたかったんだろうな。
夫の言葉「…三日早すぎたんだな」を聞いたらそう思っても。
母親想いとマザコンは紙一重なのか同じ意味なのか?
でも結局子離れ出来ない母親も、親離れ出来ない息子も、自分から逃げているみどりさんも誰も幸せになれてないじゃない?
綾香ちゃんだけはちゃんと愛して幸せにしてあげて。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 重松清
感想投稿日 : 2016年10月10日
読了日 : 2016年10月9日
本棚登録日 : 2016年10月9日

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