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興味の趣くままに・・・・
レビュー by anton509さん
短篇集。
読み始めてすぐに、あぁ、この作家は好きだ、と思う。
柔らかでナイーブな語り口、時折のぞくユーモア・・・・
冒頭の「センシニ」にまず心を掴まれる。
スペインに亡命中のアルゼンチン人作家と40歳も年下の若者との、文通を介しての友情を描いた作品であるが、淡々とした語りのなかに、一度も顔をあわせることのなかった年上の作家への深い敬意と、不如意な生活に対する悲しみとが切々と感じられ、胸うたれる。
病床にあるポルノ女優が過去を回想する「ジョアンナ・シルヴェストリ」は、彼女が時々使う下品な言い回しにもかかわらず、不思議な光に包まれているような穏やかさに満ちた美しい一篇。
つかの間の交情の後、すっと通信圏外に去っていってしまうような人々との関わり方も含め、ちょっとしたことで簡単に狂いだしてしまうような当てにならない人生。
そんな人生の掬い上げ方がとてもいい。
また、かつて恋人であった女性が癌にかかったことを知らされ泣き出してしまうほど悲しみに暮れている語り手に、その直後日常の瑣事に気をとられた際、彼女のことを一瞬忘れていたこと、“そうした忘却がもはや止めようもないことを悟った”(「クララ」)と言わしめる冷厳な視点もいい。
Llamadas Telefonicas by Roberto Bolano
レビュー登録日 : 2010年06月09日
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