小公女 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2014年10月28日発売)
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本棚登録 : 538
感想 : 33
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 言わずとしれた海外児童文学の名作。酒井駒子さんの表紙に魅かれて購入。
 
 訳者あとがきによると、旧来の訳が子どもに向けたなだらかな訳だったのに対し、今回は大人が読む『小公女』を意識したのだとか。私には翻訳の良し悪しは分からないけど、翻訳作品独特のクセや、古めかしい表現がなくて違和感なく読めた。

 人名や展開にところどころ覚えがあって、懐かしさとともに昔読んだ記憶が蘇ってきた。話の筋が分かっているから、いつセーラが孤児になってしまうのか、逆にハラハラしながら読んだ。 
 
 セーラは子どもとは思えないほど人間として完成されていて、虐げられても優しさや誇りを失わない。でも、ミンチン先生のことが好きではないことや、飢えている時に拾った硬貨を届ける時の葛藤がちゃんと描かれていて、セーラも聖人君子ではない、一人の少女なのだということが伝わってきた。

 大人になってから読むと、新たな発見があっておもしろい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 児童書(読み物)
感想投稿日 : 2015年10月5日
読了日 : 2015年1月10日
本棚登録日 : 2015年10月5日

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