学生運動の話かな?と思わせる導入であった。それにしては疲れきっていて、やぶれかぶれだ。妙だ。と読み進めるうちに、この世界がどんなものなのかが分かってくる。一言でいえば近未来(それも望ましくないタイプの)だ。
舞台が「いまここ」から離れているぶんだけ、場景描写にページを割いてしまっている。そのため冗長に感じる部分はある。
だが人物描写はさすがだ。極限状態に陥った若者たちの恐ろしい部分を、描ききっている。彼らの狂気、憎悪、攻撃性が見え隠れする。このように、場景描写の効きめが表れているのだ。
そして何といっても、表紙絵がすばらしい。かわいらしいゲルニカ風の絵が、この話を代弁しているといっても過言ではない。
文庫化する際も、是非ともこの表紙であってほしい。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2014年1月9日
- 読了日 : 2014年1月9日
- 本棚登録日 : 2014年1月9日
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