レビュー by ariairさん
アンダーグラウンドのあとがき「目じるしのない悪夢」において、ほとんどこの本に関しての種明かし的なことがなされているように思う。
キーワードは「物語」。
『自我より大きな力を持ったもの、たとえば歴史、あるいは神、無意識といったものに身を委ねるとき、人はいともたやすく目の前の出来事の脈絡を失ってしまう。人生が物語としての流れを失ってしまうのだ』
この本は、物語を喪失した人々のインタビュー集である。
『だから僕はオウム真理教のドアを開けてしまった。』と語る信者。
『他者と共時体験をおこなうための重要な秘密の鍵であり、安全弁』であるべき物語を他者に全依存したために、戻ってこれなくなった人たちの姿を、淡々とした受け答えから垣間見ることは、薄気味悪いが、大変興味深い。
その鍵でもって、そのドアを開けたら最後、ちゃんと戻ってこれる補償はないのだ。
『あなたが今持っている物語は、本当にあなたの物語なのだろうか?あなたの見ている夢は本当にあなたの夢なのだろうか?それはいつかとんでもない悪夢に転換していくかもしれない誰か別の人間の夢ではないのか?』
そう常に自分に問いかけなくてはいけない、と思う。
レビュー登録日 : 2011年09月19日
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