撃てない警官 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2013年5月27日発売)
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本棚登録 : 395
感想 : 45
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これを読んではっと思ったのは、管理部門とかだと警察の人でも捜査とかに関わらないんですね。警視庁の人なんて言われたらそういう事にみんな1回位関わっていると勘違いしそうです。エリートだったのに左遷でそういう部署に飛ばされたら、周りからは使えない奴めなんて言われて悔しい思いしてしまうのでしょう。どんな業種でも現場と事務職の軋轢っていうのはありますですね。

この主人公正義の味方でも悪党でもなく、ひたすら組織の中でもがいて自分の立ち位置を模索する様が何とも人間的で、僕的にはかなり良い作品だと思いました。
主人公が自分を陥れた同僚上司たちに一矢報いようと、正規の方法では無く弱みを握ろうと画策しますが、現場の空気を吸う事によって、次第に考え方が変わっていく描き方も自然で違和感なく読めました。

警察も人間の集まりだし、これ以上無い位に部署ごとの軋轢や思惑にまみれているだろうし、警察組織の内部事情と絡み合って色々なものが置き去りになって行くんだろうなとしみじみと思う本でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年9月21日
読了日 : 2015年7月29日
本棚登録日 : 2015年9月17日

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