お伊勢参り - 江戸庶民の旅と信心 (中公新書 2206)

著者 :
  • 中央公論新社 (2013年2月22日発売)
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感想 : 14
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今日ほど豊富なレジャーもなくて、情報も圧倒的に少なく、一生のうちの移動範囲が限られた江戸の世、
庶民が楽しむレジャーとして、お伊勢参りが大流行したのは、御師を通じて勧誘や、街道筋の人々のおもてなし等、今でいうマーケティングの妙だったのかもしれない。
海外の人から見たら「巡礼の旅」だけど、メッカを目指して砂漠を歩く旅とはだいぶ性格が違うような

そして25年間続けたという学生の4泊5日のお伊勢参り。
コンクリート道を歩き続ける旅はかえって現代の方が不便な点も多かっただろうけど、「ほっこり」する人との出会いにあふれている。
この人情話だけ読んでも、江戸時代に庶民が旅路を楽しんだであろうことは想像に難くない。
そんな出会いですら、この25年で起きにくくなっているのかもしれないけど。
確かに旅の楽しみは大部分、出発地と目的地の間の「道中」にあったのだろうなあ。現代人なら誰でも道中も存分に楽しめる旅にいけるだけの長期の休みがほしくなる。

おかげ参り発生の構造がわからない。当時の世、ご神託でもなければ一時期に何百万人も伊勢へ向かって動き出すなんて。不思議。同時代に世界でこれほどの人口移動てあったのかな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2013年3月16日
読了日 : 2013年3月16日
本棚登録日 : 2013年3月16日

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