外務省ハレンチ物語 (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店 (2011年3月4日発売)
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本棚登録 : 164
感想 : 19
5

「個人名以外はほぼ実話」といわれる外務省を舞台にした官能小説です。彼らのすさまじい生態に大笑いしつつも、「国民の税金を使っていったい何をやっているんだ」という怒りも読み終えてからこみ上げてきました。

この本は「外務省のラスプーチン」として一躍有名になった元外交官の佐藤優さんによる初めての小説です。しかし、あまりにあまりの内容で、実際に内容をここで書くと、場合によっては掲載を拒否されるようなシロモノで、個人的には大変面白く、そして怒りをこみ上げながら最後まで一気に読み終えてしまいました。

「全篇、個人名を除いてほぼ実話」
と銘打たれてある3編の小説は、いずれもある国会議員の恐るべき夜の「海外実態調査」に始まり、外務省の中においては「殺人以外のあらゆる犯罪に手を染めた」といわれる男が外務省に入省したばかりの美人新人研修生に対して「英語の特別指導」(これ以上は書けません)と称した痴態や、その後に飲み食いした金を経費―要するに国民の税金で落としているというなんともあきれた姿に半分は大笑いをし、もう半分は
「ふざけるなこの野郎!」
という怒りでいっぱいになりました。

詳しくは本書を読んで確認してほしいんですけれど、彼らが海外に行くと、給料のほかに、唖然とするほどの諸手当や自由に使えるお金があったり、はたまた省内でコトに及んでいる人間がいたりとさながら旧約聖書のソドムとゴモラに書かれているようなことが実際に繰り広げている、ということに唖然とするやら笑うしかないのやら…。という複雑な読後感を得ました。さすが某政治家をして「伏魔殿」と言わしめるだけのものがあるようです。そして、霞ヶ関では昔から
「自殺の大蔵(財務)、汚職の通産(経産)、不倫の外務」
といわれているそうで、いやはや…。僕は言葉もありませんでした。

最後のほうで、書き下ろしで収録されている「家事補助員は見た」という小説で、筆者がモデルとされる人物が活躍するので、それもまたひとつの見所だと思っています。内容がものすごい下ネタと性表現のオンパレードなので万人に進めることはできませんが、一読していただけると外務省の実態はこういうところなのか、そして、勤めている人間の精神はこういうものなのか、という意味で新しい視点を得ることができるかもしれません。ただし、その結果がどうであろうと僕は責任を取れませんので、あしからず、とだけは最後に一言申し上げておきます。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2011年12月23日
読了日 : 2011年12月23日
本棚登録日 : 2011年12月23日

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