未曾有の被害を出した3・11。本書は自衛隊のが直面した震災復興。全てが初めてのオペレーション―混乱と矛盾の中で彼らはいかに苦悩し行動したか?原発事故対応から被災者支援まで、彼らが何を考え行動したか?
本書は『3・11』の際、八面六臂の活躍を見せた自衛隊。その彼らがいかに多くの矛盾をはらんだ現場で、どのような決断をし、どのようなことに悩み、それでも前に進んでいったのか?ということが防衛大学校を卒業し、新聞記者となった筆者が浮き彫りにするという内容です。
武力を持って侵略されたに匹敵するような災害であった東日本大震災。自衛隊がそこで出た犠牲者を見つけ出し、丁寧なまでに洗浄し、家族の下に送り返すところから、陸上自衛隊と海上自衛隊の長年わたる『相克』を乗り越えてひとつのミッションに取り組む姿や、『特殊部隊』といっても差し支えのない空挺団員が被災者一人ひとりのところに回っていっていたという記述は、本当に自分の胸を打ちました。
自らの心の中に深い傷を負いながらも、『自衛隊が何しに来たんだ!』と被災者になじられらがらも、ある隊員は被災した自分の家族を差し置いてまで任務を遂行していたという話も、本当に胸を打ちました。
長年にわたって国民から『日陰』の存在としてみなされながらも時間をかけてスキルを磨き、それが皮肉にも国家の行く末を左右するような場面でいかんなく発揮された。そういう『知られざる姿』を記録した貴重なドキュメントであると思います。
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- 感想投稿日 : 2013年4月10日
- 読了日 : 2013年4月10日
- 本棚登録日 : 2013年4月10日
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