君に成功を贈る

著者 :
  • 日本経営合理化協会出版局 (2001年12月1日発売)
3.97
  • (127)
  • (104)
  • (96)
  • (11)
  • (7)
本棚登録 : 1386
感想 : 102

 いい本なんだけど、なんか印象に残らない本だ。そもそも本ではなく、90歳を越えた著者がどこかで講演したものをそのまま記録した内容のものだった。
 自分の思い通りの、望むままの人生を生きるにはどうすれば良いのか。この問いに対する切り口は良かった。シンプルだし、明治維新の頃に生まれた人なので、逝きし世の文化の考え方が残っているように思う。古きよき(よくなき)日本の面影を彼に見ることができた。その点も新鮮で 良かった。
 この手の本はもう七つの習慣と人を動かすだけで良いと思っていたが、日本の啓発書の源流をたどっていくと、やはりこういう人がいるのか、なるほど、と思わされる。「松下幸之助が傾倒した」という表現が最もこの人の考え方の形容として現代人に分かりやすく、受け入れやすいと思う。
 さすが明治維新から戦後まで激流の時代を90年以上生きた人だけ有り、知り合いとして出てくる人物(東郷平八郎、孫文など)も凄まじいし、経験(諜報員の訓練、インドの修行など)も凄まじい。講演でさらっと述べているだけなのであまり詳しくその体験をしることは出来ないのだが、常人離れしていることは間違いなく、なるほど、こういう人物がいたからこそ、日本は列強諸国に肩を並べられるようになったのだと納得する。
 医学をアメリカ?で学んだようで(あまり記されていない)神経系統の話や、素粒子(これは医学とは関係ないだろうが)の話が出てくる。これらは専門的なものだけあって少しとっつきにくかった。頭と身体をつないでいるものはなにか、それは神経系統である!と言われても、観念的には理解できても、腑に落ちるまでには至らなかった。
中村天風という人間がどういう人物かという事を知るために入門として良い書物だと思う。ここから「成功の実現」(以上に値段が高い)や「君に成功を送る」を読んでいけばいいのかな。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年7月19日
本棚登録日 : 2013年7月19日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする