悪代官は実はヒーローだった江戸の歴史 (講談社+α新書)

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  • 講談社 (2010年12月21日発売)
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江戸時代の「代官」の仕事ぶりについて、史料から明らかにしようとしている本。代官とは、天領(幕府領)の政務を取り仕切る多忙な役人であり、下級の旗本が務めることが多かったらしい。すなわち、現場の最前線で実務を指揮統括する立場であり、苦労が多いのに実入りが少なく、割に合わないポジションであったことは、現代とそれほど事情は変わらない。本書によると、災害や飢饉で困窮した民を救った結果、借金を返せなくなって切腹した代官は枚挙に暇がない。また、部下の役人が悪事を働くと、民衆はすぐに江戸に直訴に行き、代官は監督責任を問われ罷免されてしまう。3代続いた代官はいないとも言われるほど、代官の職は過酷であった。江戸時代の270年の平和を支えていたのは、江戸にいた将軍や老中や奉行ではなく、地域に根ざし、善政を布いた代官だったのかもしれない。水戸黄門に登場するようなステレオタイプな代官像を覆す良書。(いわゆる「悪代官」もいないわけでは無かったらしいが)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史・史跡
感想投稿日 : 2015年1月25日
読了日 : 2015年1月24日
本棚登録日 : 2015年1月24日

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