日本酒の教科書

著者 :
  • 新星出版社 (2010年2月1日発売)
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本棚登録 : 203
感想 : 16
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日本酒に限らず、特定ジャンルの酒について詳しく解説している本は巷に溢れてるので、どれを読んでも大差はないと思います。ただ、本によってはあまりに「初心者向け」を意識し過ぎているが故に、説明が甘かったり「事実」と「著者の意見」がごちゃ混ぜになっていたりするものもあるので、その辺は注意して見抜かないと誤解を招く原因に。その意味では、この本はきちんとした造りです。

この本の売りとしては、前半で日本酒のいわゆる分類方法や、「生酛」「山廃酛」「冷やおろし」「原酒」などといった専門用語の解説をきちんと示したうえで、残り半分をがっつり日本全国の日本酒、約350本の紹介に割いているということ(ただし冷や、常温、燗の3つを飲み比べる必要から純米酒のみ)。著者の本職がソムリエであることも手伝って、それぞれの酒の品評についてはかなりの読み応えがあります。
また、前半部分で紹介されている、著者と日本酒業界の権威団体とが共同で定めた日本酒の4分類もここで活かされていて、自分が好きな酒の種類がだいたい一つは分かっていれば、似たような味わいだと思われる酒を探すのはそれほど手間ではないと思います。

ちょっと惜しいと思ったのは、せっかく全国の蔵のインデックスまで付録につけているのに、そこに書かれている杜氏の情報が、この本からスポーンと抜けてること。他の項目についてはほぼ網羅されていると言っても好いぐらいの情報量なのに、なぜか杜氏のことだけは何も書かれていないので、ちょっと肩透かしの印象を受けました。

日本酒は好きなんですが、実は後半に載ってる酒のうち、名前を知ってるのは3分の1もありませんでした。ってことは、それだけ未知の旨い酒があるということ。酒飲みには楽しくなる本です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 娯楽
感想投稿日 : 2013年2月17日
読了日 : 2013年2月17日
本棚登録日 : 2013年2月17日

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