せいぜい300ページぐらいしかないハードカバーですが、読みごたえは十分。
赤ちゃんに秘められた可能性を説き、「子どもは哲学の難問である人間の想像力や真実、意識、同一性、愛、道徳といったものを解き明かす手がかりを与えてくれる」として、その実例を豊富な実験データや著者の子育ての経験から展開しています。本来ならばかなり難しい「論文」となるはずのテーマですが、とても平易な文章で綴られているので(この辺は訳者が頑張ったのだと思いますが)、読みこなすのはそれほど難しくないと思います。
個人的には、大人と子供の「注意の向け方、注意の集め方」の違いが面白かったです。
大人は注意を抑制できる一方、子供は外の刺激に大きく反応するので集中力が弱く、余分な情報に反応してしまう」という事実から、「だから子供は広く浅く注意を拡散させていないと勝てない神経衰弱が大人よりも得意」という実例に展開した時は、ストンとこの論が腑に落ちました。友達の娘でやたらに神経衰弱が強い子がいて、手加減せずに本気で挑んでも負けることがあるんですが、そういう特性が子供にはあるんだなぁと納得でした。
他にも面白い実例や論証はたくさんあるので、子供というフシギな生き物に関心がある方は是非ご一読を。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
科学
- 感想投稿日 : 2014年1月31日
- 読了日 : 2014年1月31日
- 本棚登録日 : 2014年1月31日
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