変身 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (1994年6月6日発売)
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本棚登録 : 21772
感想 : 1679
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自分にとってはそれなりに長い小説を久しぶりに読んだせいかどう感想を書いたものか悩んでしまう。この作品のテーマがとにかくとてつもないものだから、かもしれないけど。

脳が入れ替わったら、その器としての人は元の個人たり得るのか。そんな疑問に東野圭吾が独自の観点から向き合った小説だったと思う。そこに上手い具合でエンターテイメントっぽさというか、人間の意識や性格がどうこうって時点でドラマが生じるのは当然なんだけど、それがキレイにまとまっていることに舌を巻くしかないよね。一人称が僕から俺に切り替わったことに途中から気付いてハッとした。さすがです圭吾さま。
小さい頃になんかのテレビで見た、事故とかで脳の一部が損傷を受けた後から人が変わってしまったとか、食べ物の好みがガラリと変わったっていう海外の実話を思い出した。だからやっぱり、脳は個人が個人として存在するための大切な部位なんだと思う。作中ではコンピューターのCPUみたいに例えられてて、故障したところに同じパーツを当てはめれば大丈夫なんて言ってたけどさ。そもそもコンピューターと人間は一緒にできるものじゃないし。相手の気持ちはもちろん自分の感情も完璧に理解できなかったり、1か0で割り切れないことなんて人として生きていく上でいくらでもあるんだから。だから、だからこそ面白いんじゃんか。だいぶ脱線してない? なに言ってんだ俺。
一気に読んだから少し疲れた。たまにはこてこてのラノベを読みたいなーなんて思ってるけどこれは果たしてちゃんとした自分の意思なんだろうか、なんてね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2016年8月26日
読了日 : 2016年8月26日
本棚登録日 : 2016年8月26日

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