マジ文章書けないんだけど ~朝日新聞ベテラン校閲記者が教える一生モノの文章術~

著者 :
  • 大和書房 (2017年4月19日発売)
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マジ文章書けないんだけど


1.主語と述語


述語:主語に対して、その動作、作用、性質、状態などを表す語。
主語:述語に対し、それが表す動作、作用を持つものを表した語。
例:
〜は(主語)、〜だ(述語)
〜が(主語)、〜した(述語)
デザインが(主語)美しい(述語)




文と文章の違いを意識する。文とは、最小の単位。文がつながったものを文章とよぶ。

文とは主語と述語の組み合わせ。主語と述語がかみ合うようにする。
そのためには、文を骨格と肉の要素に分解してみて、主語と述語がしっかりと対応できているかをチェックする。

例: このバッグはブランドものなので、値段と人気が高く、品質とデザインが美しいブランドだ。

分解㈰骨格部の分解:このバッグは(主語) ブランド物なので(述語) ブランドだ(述語)。
分解㈪肉の部分の分解。「と」を&に置き換えてみる:値段が(主語)高く(述語)&人気が(主語)高く(述語)、品質(主語)が美しい(述語)&デザインが(主語)美しい(述語)

改善例1:このバッグはブランドものなので、値段は高いが、若い女性に人気があり、品質がよくデザインが美しい

・骨格部:このバッグは(主語)ブランドものなので(述語)
・肉:値段は高いが、若い女性に人気があり、品質がよくデザインが美しい


文は主語と述語の関係が明確になっているほうが分かりやすいため、文は短くする、ただし文章はある程度長くないといいたいことが伝わらない。
短くて簡素な文をつないで文章にしていくとよい。
文を短くするのを目的にするよりも、分かりやすい文にすれば必然的に短くなる。
読む人に分かりやすく、言葉を整理する。
同じ表現を繰り返さない:
同じような表現を何回も使うと平板になってしまう




改善例2:このバッグはブランドものなので値段が高い。しかし品質がよくデザインが美しいので、若い女性に人気がある。

・骨格部:このバッグは(主語)ブランドものなので(述語)値段が高い。(述語)
・肉:(このバッグは)品質がよく(述語)デザインが美しい(述語)ので、若い女性に人気がある(述語)。


例:このモデルは背が高くて脚が長くスタイルがいいので顔が小さく、どんな服でもよく似合うモデルだ。
・骨格部の分解:このモデルは、モデルだ、となるのでおかしい。
・肉の分解:顔が小さく、どんな服でもよく似合う、なぜなら、背が高くて脚が長くスタイルがいい からとなるが理由になっていない。

改善例:1つ1つの要素を分けてみる
要素1:このモデルは、スタイルがいい、なぜなら背が高くて脚が長いから
要素2:このモデルは、どんな服でもよく似合う、なぜなら顔が小さいから

要素1:このモデルは(主語)背が高くて脚が長いのでスタイルがいい(述語)
要素2:このモデルは(主語)顔が小さいのでどんな服でもよく似合う(述語)

このモデルは(主語)背が高くて脚が長いのでスタイルがいい(述語)。加えて顔も小さいのでどんな服でもよく似合う(述語)。




「が」と「は」の違い:
「が」:主語にあたるものを示す格助詞。直後の述語にだけ影響する。
「は」:主語を示す場合とそうでない場合がある格助詞。直後の述語だけでなく、遠くにある述語にまで影響する。

例: 
・あなたが時計をみるたび、(私は)泣きそうな気分になる:
あなた(主語)は「時計を見る」にしかかからない。「泣きそうになる」の主語は私。

・あなたは時計をみるたび、泣きそうな気分になる:あなた(主語)は「時計を見る」、かつ、「泣きそうになる」の両方の述語にかかる。



係助詞「は」:多くの事柄から、一つのものを取り出して提示する。
例:あの俳優は演技がうまい
あの俳優は演技はうまい





既知情報には「は」がつく。
未知情報には「が」がつく。
例:綾瀬はるかが、月9主役に選ばれた:未知情報+「が」+既知情報。誰が主役に選ばれたことは分からない状況。

綾瀬はるかは、月9の主役に選ばれた:既知情報+「は」+未知情報。綾瀬はるかが何に選ばれたか分からない状況。





副詞とは、動詞などを修飾する品詞。
否定形で受ける副詞:
・全然 〜ない
・必ずしも 〜ない
・まったく 〜ない
・決して 〜ない

推量・疑問で受ける副詞:
・まさか 〜だろう
・おそらく 〜違いない
・いくらなんでも 〜はずがない
・もしかしたら 〜かもしれない
・もしや 〜ではないだろうか


2.文と文章の構造
「こそあど言葉」=指示語。a.距離を表す、b.それまで話していた内容を受ける。上手く使うと繰り返しが避けられる。
これ、それ、あれ、どれ:代名詞
ここ、そこ、あそこ、どこ:指示代名詞
こんな、そんな、あんな、どんな:形容動詞
この、その、あの、どの:連体詞
こう、そう、ああ、どう:副詞




つなぎは少なめにするのがよい。「だが」「ので」はできるだけ使わない。
順接などで、つなぎの意味しかない「だが」「ので」「が」「けど」がでてきたら文を二つに分けてみるとよい。

順接例:犬を飼っているのだがとても可愛いので、友達から猫を飼わないかと言われてもその気にはならない。

要素1:犬を飼っている
要素2:とても可愛い
要素3:友達から猫を飼わないかと言われてもその気にはならない

・犬を飼っている。とても可愛い。
・だから友達から猫を飼わないかと言われてもその気にはならない

可愛い犬を飼っている。だから友達から猫を飼わないかと言われてもその気にはならない

逆接例:甘いものを食べ過ぎない方がいいのはわかっているのだが、おやつをやめられない。
要素1:甘いものを食べ過ぎない方がいいのはわかっている。
要素2:おやつをやめられない
逆接の文には「だが」のようなつなぎ言葉が入っている方がおさまりがよい。

例:商店街の抽選で当たった朝顔の種をまいたのだが、毎日の水やりが楽しみなのだけど、仕事が忙しいのでしっかり枯れないようにしたいと思って水やりをしている。

1.商店街の抽選で朝顔の種が当たった
2.朝顔の種をまいた(のだが)、
3.毎日の水やりが楽しみ(なのだけど)、
4.仕事が忙しい(ので)
5.枯れないようにしたいと思って水やりをしている。

改善:商店街の抽選で当たった朝顔の種をまいた。仕事は忙しいが、枯れないように毎日の水やりを楽しみたい




能動態と受動態:視点によって書き方が変わる
能動態:行動を起こした主体を主語にする。
受動態:行動や作用を受ける対象を主語にする

受動態は、大まかな情報を伝えるときに便利。さらに客観的な書き方もできる。

受動態例:デートの待ち合わせに遅れたので、百合子は彼氏に怒られた。(百合子の視点)
能動態例:デートの待ち合わせに遅れたので、彼氏は百合子を怒った。(彼氏の視点)



過去形と現在形:
過去形を使うと客観的な雰囲気になる。映画をスクリーンに映してそれを見ているような感じ。見ている自分は映像の外側にいる。
逆に、現在形は主観的な雰囲気になる。
過去の話の中に、うまく現在形を使うとライブ感がでてくる。


読点「、」と句点「。」: 読点「、」は意味のかたまりでつける。要素が2つ以上並んだ時は、要素の区切りに読点を打つとわかりやすくなる。
例:私は朝早くおきて、公園でヨガをした


3.伝わる文章にするには、読み手の思考を意識する。
述語にかかる品詞はそろえる。
2つの要素を1つの述語に掛けるときは、その要素をそれぞれ明確にし、その上で述語に掛ける品詞をそろえる。
1つの文は1つの要素で書く。
要素が増えたら文をわける。

例:大学時代は応援部で吹奏楽のために人間関係と部の運営に尽力した。

分解:
・大学時代は応援部で吹奏楽のために人間関係に尽力した:人間関係に尽力した、では意味が通じない)
・大学時代は応援部で吹奏楽のために部の運営に尽力した。

大学時代は応援部で吹奏楽のために人間関係を良好にするためと部の運営に尽力した。

大学時代は応援部で吹奏楽のために良好な人間関係の構築と部の運営に尽力した。



更に改善。
・一つの文には一つの要素を心がけることで分かりやすくなる。
・あいまいさをなくす。

例:大学時代は応援部で吹奏楽のために良好な人間関係の構築と部の運営に尽力した(人間関係の構築とは何か?なんのために部の運営をしたのか?)

大学時代は応援部の吹奏楽に所属していた。
吹奏楽のクオリティーを高めるために、仲間とのコミュニケーションを第一に考えた。応援部は野球部など他部との日程調整が必要だ。また、対戦相手となる他大学との応援の打ち合わせなども頻繁にある私はこうした部の運営にも尽力した。




書き出しに前提はいらない、結論から書き出す。
書きたいと思う部分から書き出す。身近な思考回路を参考にすると良い。


「状況」「行動」「変化」を意識して、その循環で文章を考える。
文章とは人間の思考に沿って書いていくもの。文章がすっきりしないということは、その思考の組み立てが間違っているのかもしれない。
人間は、状況に応じた行動をとり、それによって変化する。
SNSの文章は状況だけを書いているものが多いため、本当に伝えたいことが伝わりにくい。
状況しか書いていないとつまらない。
状況ばかりが並ばないようにWhyという問いをたてると、行動や変化が自然に現れる。

例:
友達の里美とディズニーランドに出かけた。(行動)
あいにくの雨だったが、(状況)
2ヶ月前からスケジュールを合わせて(行動)
やっと実現したものだ。(状況)
里美とは中学からの親友で、高校までテニス部で一緒だった。(状況)
しかし、彼女は関西の大学に行ったので会う機会がめっきり減った。(変化)
だからとても楽しみにしていたのだ。(状況)


箇条書きでシンプルに書く。
自問しながら書く。
そうすると文がつながって1つの文章になる。


4.Whyを意識する。
5W1Hの活用を考える。一番大切なのはWHY
読む人が、なぜ・どうしてと思うところもきちんと説明すること。
Whyを意識すれば、状況・行動・変化が掛ける。
客観的に観察してストーリーを描くこと。
たった1つの文も、Whyの要素を入れると長い文章になる。
文を展開させるということは、文と文をつないでいくということ。
1つの文に1つの要素で、箇条書きのようにして書いていく。


写生文を使って物事をあるがままに写し取る。
あるがままに写し取ると、書き手と読み手がイメージを共有できる。
例: バラの花が綺麗だった
そのバラは真紅の花びらが何重にも巻かれ〜

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カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年9月19日
本棚登録日 : 2017年9月19日

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