サハラに死す――上温湯隆の一生 (ヤマケイ文庫)

著者 :
  • 山と渓谷社 (2013年1月25日発売)
4.08
  • (19)
  • (22)
  • (8)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 255
感想 : 27
5

初版が1975年の、冒険ノンフィクションである。サハラ砂漠をラクダ1頭で単独横断しようとし、志半ばで亡くなった、上温湯隆氏の旅を記録したものだ。冒険に魅せられる若者たちの指南書だという。
大人が常識的に考えると、ラクダでサハラを横断なんて、無謀としか言いようがないだろう。しかもGPSもない40年以上昔のことだ。しかし、サハラの魅力は22歳の彼を惹きつけ続ける。
彼の行動力、勇気というものに素直に感動した。若い頃は誰でも、今後の人生や、生まれてきた意義などを悶々と考えるものだ。旅をすることで、彼は自分の方向性が見えてくる。
様々な現地人や家族の支援のもとに、過酷な旅を何ヶ月も続けることができたのに、残念ながら彼は砂漠の真ん中で亡くなってしまう。死を待つ絶望はどれほどのものか。生きて帰国して欲しかったと思うが、彼はまた旅に出てしまい、死ぬまで旅を続けたのだろうなとも思う。
彼の情熱にこちらまで高揚した。未読の方にお勧めしたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年2月4日
読了日 : 2017年2月4日
本棚登録日 : 2017年2月4日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする