最後の陪審員 上巻 (新潮文庫 ク 23-23)

  • 新潮社 (2007年12月1日発売)
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ミシシッピ州北部、裁判所がある架空の小都市、フォード郡クラントンが舞台。
主人公ウィリーは、1970年、新人記者として勤務していた地元新聞社が倒産したのを機に、祖母に5万ドルを借りてこれを買収。23歳にして社主となる。

ちょうどそのころ、平穏な地方都市では珍しく凶悪な殺人事件が発生する。
逃走中に飲酒運転で事故を起こして逮捕された被疑者は、地元で隠然とした権力を持つバジット家の不良息子ダニー。

ウィリーは、連邦憲法修正1条・言論の自由を錦の御旗に掲げ、他方では新聞の売り上げを高めるため、バジット家や煮え切らない捜査機関を舌鋒鋭く批判する論陣を張る。違法スレスレの刺激的な報道により、販売部数は着実に回復していった。

法廷で進退窮まったダニーは、弁護人が苦労して「善良な青年」のイメージを作ろうとしたにもかかわらず、ついに「おれを有罪にしてみやがれ。お前たちをひとり残らず仕留めてやるからな」と毒づき、陪審員たちを恐怖に陥れる。

陪審により、すぐに有罪評決がなされたが、死刑宣告の条件である「陪審員の全員一致」が充足されなかったため、終身刑が宣告された。クラントン市民は失望したが、陪審員が互いの秘密を守ったため、誰が死刑に反対したのかは知られなかった。

終身刑となったはずのダニーは、制度の不備をつき、バジット家の潤沢な資金で関係者を抱き込み、ついに9年目で仮釈放が決定されてしまう。

その後、バジット裁判の元陪審員が2人続けて射殺され、平穏を取り戻しつつあったクラントンに再び緊張が走る。誰もがダニーを疑ったが、被害者はいずれも評議では死刑に反対していたようなのだ。ダニーはそれを知らず無差別殺人をしているのか。

証拠が何もないため、ダニー逮捕をためらっていた裁判官も、また別の元陪審員にプラスティック爆弾が届けられるに及んで、ついに逮捕状を発行。ダニーには再び手錠がかけられた。しかし、3人目の被害者も死刑には反対していた。

傍聴人がつめかけた保釈審問会が始まり、手錠姿のダニーが入廷した・・・

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2012年4月3日
読了日 : 2012年4月1日
本棚登録日 : 2012年4月3日

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