情報を生み出す触覚の知性:情報社会をいきるための感覚のリテラシー (DOJIN選書)

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  • 化学同人 (2014年12月22日発売)
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触覚の特徴を確認してみる。

1.「モノを見る」と「モノに触れる」ということの違い。
視覚は一挙にわかるが、触覚はそうではない(目隠しをしてモノに触れて、それが何かを当てるゲームがあるように)

2.不要なものは無視して対象化しない働きがある。(足の裏の感覚)→意識せずに「分かっている」ことがある。

3.触れる、触れられるという図式は、身体と文字通り「密接」している。(触れられる感触が心地よく感じる効果がある)
他の感覚はどちらかといえば、支配、被支配の関係である。

4.皮膚感覚は、「分かる」手前で起きている。(とっさに避ける行為と同じように、不気味なモノに遭遇すると鳥肌が意識せずに立つ)

5.情報として拡散されない。(この本がはじめての「触知情報学」の試みであるように)

6.分析することが容易でない。この本のように、分析ということがそのまま、触覚の世界の内実を発見し、構成する試みとなっている。

例えば、「触譜」という試みがある。これは、映画鑑賞や音楽鑑賞のように、触覚を鑑賞する試みである。楽譜のように「触譜」を書く。この開発で、なんらかのイメージや感情を伝達することができる。

また、巻末の紹介本も有用である。
行動神経科学者ダマシオのソマティック・マーカー仮説や、西垣通の基礎情報学なども取り上げられている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年4月25日
読了日 : 2016年4月25日
本棚登録日 : 2016年4月22日

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