Ayaka's accepter»
活字は呼吸源。本のない生活なんて、できません。 since 2008年4月。思いついたときに更新中。
レビュー by あやかさん
水たまりに滴る水滴のように
小さな音を立てて紡がれたように
この人のことばは、しっとりと存在感を放つ。
十二月の空気は、どうしてか現実の温度より体感温度のほうが低く感じられる。なんとはなしに淋しい感じがするからだろうか。サンタクロースが空を飛んでも、先生が走っても、十二月はやはり「終わり」という言葉を孕んだ月だ。
(本文より抜粋)
寂しさも、切なさも美しい。
心をまっすぐに立てられない年上作家と
放っておけない思いを恋心に変える青年の恋。
百合子さんの身勝手な猫のような振る舞いに
忠実な犬のように反応する彼は
傍から見ても、なぜかしあわせそうだ。
運命論、だなんて語れないし
陳腐な言葉を並べるつもりなんてないから
これ以上、彼らの形を言及できないけれど
ただ、その関係が綺麗だ、と思えること。
それだけで、百合子さんにも僕にも
愛しさすら沸くのだから、不思議だ。
***
村上春樹氏の『国境の南、太陽の西』のオマージュ作品。
だから、レビューも二冊読み終わってから書いてみた。
別物、ではあるのだけれど
ところどころでリンクされた二つのお話に
「!!」となるのが、たまらないっ!!
『国境〜』では
「人の家庭に波風立たせて!!!」と
あまりいい印象がなかった島本さんを大好きになれたのは
この一冊があったから。
2008年12月3日 読了
レビュー登録日 : 2008年12月06日
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