〈人の命を救うはずの宗教が、なぜ同じ宗教の名のもとに人の命を殺すのか〉。この「素朴な問い」(著者の言葉)に答えるために、古代におけるキリスト教成立時の逆説を論じた本。
正直、この問いに答えるためだけだとしたらこの本は長すぎる。直接この問いに触れている部分は多くない。
しかし、そのことはこの本の価値を下げるものではない。
僕はキリスト教には全く無知だったため、この本を読んでむしろ古代ユダヤ史やキリスト教成立史についての基本的知識を得ると同時に、一気に聖書学の根本的な議論の深部にまで連れて行ってもらった気がした。やや専門的というか迂遠であって本を読みなれない一般の人には読みにくいかもしれないが、好著。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2011年3月20日
- 読了日 : 2011年3月20日
- 本棚登録日 : 2011年3月20日
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