色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

著者 :
  • 文藝春秋 (2013年4月12日発売)
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本棚登録 : 16468
感想 : 2398
5

アカ、アオ、シロ、クロ、灰田。
カラフルな友人と、色彩をもたない多崎つくる。
乱れなく調和する親密な場所でぴったりと5本指のように
均衡を保ち過ごしていた高校時代。
そして突然やってきた破綻。

葬ったはずの心の奥に沈んだ暗闇を解放して
真実の自分を明らかにするための巡礼の旅。
Le Mal du pays。時間の概念を持たず、肉体の檻を出て、
純粋に理論を飛翔させ、心と心で抱きあう邂逅。

その先に交わる未来はなくても、傷つきやすく傲慢な季節が終わり、
過去を受け入れ、真っ直ぐに進む先は光があると。
許し、許され、愛し、愛され。人生の仄暗い部分こそ蓋をせず
向き合ってこそ、どんなに夜は長くとも朝の光は美しく差し込む。

フィンランドの森に浄化されていく想いが美しかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ■ 村上春樹
感想投稿日 : 2013年7月2日
読了日 : 2013年7月2日
本棚登録日 : 2013年7月2日

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コメント 2件

vilureefさんのコメント
2013/07/03

こんにちは。

素敵なレビューですね。
この本の世界観を的確に表していて読んでいてとても心地いいです。
そうですよね、やっぱり☆5つですよね!!

普段は顔文字いっぱいハートマークいっぱいのあやさんのレビューが時おり真面目(!?)になるそのギャップがとっても面白い(*^_^*)
どちらのあやさんのレビューも好きです!
これからも楽しませてくださいね(^_-)-☆

山本 あやさんのコメント
2013/07/04

[♥óܫò]∠♡vilureefさん

vilureefさん、こんにちはー♡

村上春樹さん、毎度のことながら
日本人が伏線と驚きのある本に慣れているせいか
リアリティからの回収なしとか想像の余地のある本は
酷評されがちですよね[´ー`;]
フランスだとすごくすんなりと受け入れられそうだけど
日本ではやっぱり純文学は難しいのかもですよね。
でも、ほんとステキな世界で☆5ですよねー[*Ü*]

レビュー!
自分では意識せずに読んだままのテンションで
思ったままを書いてるので、感想も雑多な感じに
なってしまうのかもっ[笑]

どっちも好きなんて言ってくださってありがとうございますー[´iωi`]♡
これからもこのまま、丸だし状態だと思いますが
改めてよろしくオネガイします…[笑]

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