職場の先輩の大学時代の後輩、ということで著者のことを知り、御手洗瑞子(みたらいたまこ)という変わった名前だったので印象に残っていて、さらに、GNHを掲げるブータンという国にも興味があった、と色んな要因が重なって手に取りました。
この本は、2010年9月からの1年間、ブータン政府GNH(Gross National Happiness)コミッションの首相フェローとして働いた著者が、ブータンという国について考察した本です。
食事、祭り、働き方、男女関係の在り方などから、その国民性を読み解いていくのですが、ブータンを単に幸せの国として理想化するのではなく、悪い部分も直視します。
たとえば、ブータンの人たちは、人間の力では頑張ってもどうにもできないと思っている範囲がとても大きい。それは、過度なプレッシャーがなく、気楽にしていられる、割り切れるという良い点がある反面、失敗しても反省して学ぶことをあまりしないため、同じ失敗を何度も繰り返し、また、確定させるのが難しいため予定や計画を立てにくいという悪い点もあります。
そのうえで、胸を張って自分の国を誇れるブータンの人たちの強かさを参考にしたいと述べている、著者の冷静でいて暖かな眼差しが目に映るような、そんな本でした。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
エッセイ
- 感想投稿日 : 2013年6月16日
- 読了日 : 2013年6月16日
- 本棚登録日 : 2013年6月16日
みんなの感想をみる