自らの先祖を辿っていくと、いろいろな人との繋がりが見えてきますが、その数は天文学的な数となってしまいます。
著者は、自分の家系を例に先祖探しを試みていますが、結局辿れるのは数世代程度で、その先はよく判らなかったようです。家系を探る手掛かりとしては、戸籍、家系図、人の記憶や言い伝え、郷土史、お寺の過去帳、苗字、家紋などがありますが、調べてみるとどれも決め手がなくて、なかなか整合できないもどかしさがあります。例えば、家系図は先祖を知る有力な手掛かりですが、記録した人の主観が入る余地があり、家柄を良くするために都合良く著名人に繋げることがあって(だいたい貴族や武将や天皇に行き着く)信頼性に欠けることがあります。また苗字や戸籍は明治時代に始まった制度であるため、その先を辿るのが難しく、結局、普通に家系を辿っても戸籍が残っているせいぜい江戸末期くらいまでが限界らしい。
著者は先祖を辿っていくことによって、関係する多くの人達と出会い、親交を持つことができたようです。先祖を辿ると、今を生きる人達との繋がりを持たせてくれます。ご先祖様は「今もそこに居る」と結んでいます。
自分が居るのはご先祖様のお陰ということを、改めて感じさせるエッセイでした。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
エッセイ
- 感想投稿日 : 2011年8月22日
- 読了日 : 2011年8月20日
- 本棚登録日 : 2011年8月22日
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