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西郷南洲遺訓―附・手抄言志録及遺文 (岩波文庫)についてのバルビローリさんのレビュー


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私が読んだ本を紹介いたします。

レビュー by バルビローリさん

 未設定  未設定  3  登録日: 2009年04月05日

西郷隆盛の「南洲翁遺訓」や「手抄言志録」、それに問答、書簡、遺教、逸話などを収めた本です。

それにしても、初版が1939年で、そのまんまの文章で書かれていて、非常に読みにくいです。中国の古典と違って、日本の古典はなかなかいい口語訳や解説をしている本が少ないので困ります。

感想というよりは、なるほどなと思ったところを抜粋。

「道は天地自然の物にして、人は之を行ふものなれば、天を敬するを目的とす。天は人も我も同一に愛し給ふゆえ、我を愛する心を以て人を愛するなり。」

「人を相手にせず、天を相手にせよ。天を相手にして、己れを尽くし人を咎めず、我が誠の足らざるを尋ぬべし。」

「万民の上に位する者、己を慎み、品行を正しくし、驕者を戒め、節倹を勤め、職務に勤労して人民の標準となり、下民その勤労を気の毒に思うようならでは、政令は行われ難し。」

「命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は、始末(しまつ)に困るものなり。この始末に困る人ならでは、艱難を共にして国家の大業は成し得られぬなり。」

「過ちを改むるに、自ら過ったとさえ思い付かば、それにて善し、その事をば棄てて顧みず、直に一歩踏出すべし。過ちを悔しく思い、取り繕わんと心配するは、譬えば茶碗を割り、その欠けを集め合わせ見るも同じにて、詮(せん)もなきことなり。」

おそらく、西郷隆盛という人は、政治と私益を厳しく切り分け、非常に人間に対する好き嫌いの激しい人物だったと思われます。当時の政治家や官僚(士族)の間でも彼に対する人気と評価は大きく二分されていたのではないでしょうか。私欲を排した道徳的な生き方を実践する人物というのは、実利的な思考様式を持つ人間との相性が悪くなります。官吏の腐敗や政治家の利権との癒着を徹底して嫌ったので、清濁併せ呑む妥協が難しいという意味で、原理的に近代国家の官僚機構や資本主義に馴染まない部分があったのではないかと思います。

ただ、そういう人であったからこそ、西郷隆盛が偉大であったわけで、こういう思考を持つ影響力の大きい人が現れて欲しいですね。 レビュー登録日 : 2009年04月05日


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