私にとって、久々の森作品。
シリーズものでないミステリだし、
外国が舞台で主人公が外国人の小説を読むのも、
そう言えば久しぶりだ。
内容は...かなり複雑な、こった作りになってる。
登場人物も多いし、当たり前だが外人名前だし、
気合いを入れてないと誰が誰か見失う(^ ^;
様々な国にまたがり、殺人事件がいくつか起こる。
その全ての現場に、主人公の学生時代のルームメイトで、
ものっっそい美少年だった男がいた、という展開。
しかし、その美少年は犯人ではなく、
意外にも「主人公がやった」と証言して、
否応もなく事件に巻き込まれる主人公。
何とも不思議な空気が流れる文体で、
緊迫したシーンでは改行を多用する森氏らしい面も。
地の文がわりとゆったりしたテンポなので、
いざという時のドキドキ感はハンパない(^ ^
ミステリ好きは皆そうだと思いますが、
途中で「もしや、こいつが犯人では」とか
「あ、これはこういう『意外な展開』かな」とか
予言者となりつつ読み進めるようになる。
当然、その予想は当たったり外れたりして、
外れると「見事などんでん返し」などと言って
喜ぶのがミステリ読みだったりするのですが...
この作品は、途中で「もしや」と思った予想が
「全部当たっている」というウルトラC(^ ^;
矛盾しているものも含めて、全部(^ ^;
しかもなお、たたみかけるように襲ってくる、
私の予想の斜め上を轟音で飛び去るような展開(^ ^;
かなり「反則」に近い叙述トリックではありますが、
あ、そう言えばあの違和感の正体はこれだったか、
と後から気づくように伏線はきちんと張られている。
文庫版は、萩尾望都氏の解説が秀逸。
ネタバレしてるので、必ず読後に見ること。
「あ、そういう意味もあったのか」と気づき、
すぐ再読したくなること請け合いです(^ ^
- 感想投稿日 : 2016年5月18日
- 読了日 : 2016年5月17日
- 本棚登録日 : 2016年5月13日
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