「マリカを守りたい。僕等はそのためだけにきたんだ。そのためだけにいるんだ。」
幼い頃から両親に虐待され、心を閉ざし多重人格という心を持ってしまったマリカ。
マリカの面倒をみているジュンコは、彼女の希望に添い、医者の反対を押し切って、マリカをバリ旅行に連れていくことに決めた。
マリカの人格の1つである少年オレンジ。
ジュンコはオレンジと会話するうち、彼の存在の確かさや、彼の想いに触れていく。
『そう、あなたを故郷の国につれていってあげる。
あなたが望む世界じゅうのどんな国にでもつれていってあげる。
髪にきらきら光る髪飾りをつけてあげる。
大きなお城をたてて、死ぬまで一緒に住もう。
ぜったいに、ぜったいに、おたがいいをみすてないでいよう』
多重人格という難しい問題を描きながらも、決して重くなりすぎず、爽やかで、怖いほどに綺麗で、時に恐ろしいくらいのバリの風景と溶け込みながら、最高の作品に描き上げた吉本ばななの最高傑作。
バリの匂いと
虐待の悲しみと
自分の中の人格とのかなしいほど純粋な恋。
すべてが夢のようで、消えていってしまうけれどそれでもそこに残る、明日への可能性と思い出が、読んだあともわたしを前向きな気持ちにさせてくれた。
いままでのばなな作品の中で一番好きかも。
後半は、バリ取材旅行のエッセイ。
写真つきで、綺麗で、とてもバリにいきたくなった!
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年3月2日
- 読了日 : 2012年4月14日
- 本棚登録日 : 2012年4月14日
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