★340万人の障害者がいる。その人達を基準に社会の有り様を考えると今まで想像しなかった世界が広がりだす。津田が店長を勤める障害者向けのデリヘルは、そんな可視化しづらい社会のビジネスモデル。
生きることに行き詰まっている障害者に「生きていく理由が見出せればいいじゃん」というデリヘル嬢。彼女にもそれは見当たらないし、そんな彼女はそんなものを探してもいないようにしか見えない。漂っている存在にしか見えない。障害者のデリヘル嬢として働くことで傷つきなぎらも、健常者相手のデリヘル嬢より遥かに弱者への思いやりが強い。
彼女は彼等の埋められない欠陥を、埋め合わせてあげることに生きる意味を見つけたのかも知れない。死んでしまった障害者を知らずに訪ねたり、自分を殺そうとして拘留されたストーカーに面会に行ったりする。自殺しかけたが社会的に自立し始めた客には、客としての距離観を保ちながら彼を見つめようとする。そうしたラストのカットは印象的だ。
2014.03.21
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2014年3月21日
- 読了日 : 2014年3月21日
- 本棚登録日 : 2014年3月21日
みんなの感想をみる