40代の女性を主人公にした6編を収録した短編集。
もうね、ヒリヒリ痛い。辛い。ほんと「甘いお菓子」なんかじゃない。
「母にならなくてもいい」
母が死んだ。
70代の父は呆けたようでまるで役に立たず、母の葬儀からのもろもろの雑事は離婚したばかりのあたし(香穂、47歳)にのしかかってくる。
管理職としての責務と次々と迫りくる課題、父からの無軌道な連絡と「空っぽな生活」。
バラバラになりそうな香穂の生活は「それぞれの場面」からの逃避でかろうじて支えられていた。
「逃避場所」の一つだったS氏との不倫がS氏の妻にバレ、仲の悪い部下のミスが取引先との信用問題にまでふくれあがり、とりなしの接待の場をどうにかとりつくろううちに香穂は不思議な解放感に気づく。
そうだ。お父さんにああしてあげよう。
「それぞれの出来事」は「わたし」の出口じゃない。
救いなんだ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
2017年
- 感想投稿日 : 2017年6月13日
- 読了日 : 2017年6月13日
- 本棚登録日 : 2017年5月31日
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