ある種の潔癖症で、誰に対しても悪者にはなりたくない
いつまでも中庸でありつづけたい
つまりモラトリアム…要するに無責任な立場にしがみついている
しかし無責任ゆえの不用意さで失言を発するわ
潔癖症ゆえの馬鹿正直さで自分の立場を危うくするわ
不安のあまりに「許す」の一言を強要して言質をとろうとした挙げ句
なんも関係ない友人のところに泣きついて
ホモとノンケの悲惨な愁嘆場みたいに無益な言い争いを繰り広げるわで
まったくろくでもない野郎なんだ
しかしまあ、世間じゃわりによくある青春の1コマなのかもしれない
死ぬこたあないと思う
けれども、カネの無い男が出世するには、一つの疵も命とりなのだ
そんなふうに思い詰めておかしくなっていく
これだけのものを書きながら、永らく忘れられた作家であったのは
誰もが我が身に覚えある類の醜さをストレートに出したことに加え
学歴偏重主義に批判を加えたことも大きかったのだろう
しかしそれにしても長すぎるというか
女のエピソードや終盤の内省的な部分はもっと短くできたんじゃないか
読書状況:未設定
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2017年8月20日
- 本棚登録日 : 2017年8月20日
みんなの感想をみる