始まりは静かで時に退屈な感じすらして、すらすらと読み進めることができない。ところが予想外の展開で物語の渦に巻き込まれ、気が付けば夢中で読んでいる。そして唐突とも思えるようなラストに呆然とし、放り出されたところで立ち止まり考え込んでしまう…。
濃い本だった。短編集だけど一話一話がずっしり重い。
淡々とした文章、でも無駄のない的確な描写とその視線の厳しさに、心が波打つ。
最後四話、著者の自伝的な話の中に出てくるのは、最近注目されている母と娘の複雑な関係。
特に母親が歳をとってからの記述には考えさせられる。
著者の筆致の中に見える冷えた感じが母親のそれと似ていて、そこに血の繋がりを感じてしまうのは、私の勝手な思い込みだろうか。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2014年9月21日
- 読了日 : 2014年9月21日
- 本棚登録日 : 2014年9月19日
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