舟を編む

著者 :
  • 光文社 (2011年9月17日発売)
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感想 : 4344
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本文中には、とてもいい言葉が随所に散りばめられています。

『舟を編む』は、読み終えたときに、本当にいい本に出会えたと深く実感できる小説だと私は思います。



「言葉」というものは、本当に不思議なもので、たとえ、まったく同じ言葉を使った表現でも、その時々や状況によっては、

人を大きく勇気づけて励ますこともあるし、逆にかえって、人を傷つけることもある。


たとえば、人一倍に一生懸命努力しても、全然成果に恵まれず、もがき苦しんでいる仲間が自分のすぐ近くにいたとして、

「がんばって!」と励ましの声をかけることが良いかどうか。

もしかしたら、「もうこれ以上、がんばらなくてもいいんだよ!」と、そっと優しく声をかける方が良いこともあるかもしれない。



しかしながら、いずれにせよ、
誰もが言葉を使って、自分の心に秘めた思いや考えを相手に伝えることには変わりないのだということを、本書は改めて実感させてくれました。



「完璧な辞書を作ることはだれもできないとわかっていても、言葉を使って思いを伝えようとするひとがいるかぎり、俺は全力でこの仕事を為し遂げてみせる。」
(p.72より引用)


このフレーズは、本当にかっこいいと私は思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 三浦しをん
感想投稿日 : 2012年8月27日
読了日 : 2012年8月27日
本棚登録日 : 2012年8月23日

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コメント 3件

HNGSKさんのコメント
2012/08/24

コメントしてくださってありがとうございます。
この本は、私の2012年上半期BEST5に入る作品です。
また、読んだ感想を聞かせてください。

HNGSKさんのコメント
2012/08/27

ブルーバードさんが、言葉について深く考えたことが伝わってきました。
言葉って、とっても不思議で、とっても大事なものですね。もう一回、この本を読んでみたくなります。

nico314さんのコメント
2012/12/30

人に気持ちを伝えたいと願うとき、それを表現する言葉が見つからなくて愕然とするときがあります。
本を読んでいて、「あぁ、これだ」と思う瞬間に救われたりもします。

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