本文中には、とてもいい言葉が随所に散りばめられています。
『舟を編む』は、読み終えたときに、本当にいい本に出会えたと深く実感できる小説だと私は思います。
「言葉」というものは、本当に不思議なもので、たとえ、まったく同じ言葉を使った表現でも、その時々や状況によっては、
人を大きく勇気づけて励ますこともあるし、逆にかえって、人を傷つけることもある。
たとえば、人一倍に一生懸命努力しても、全然成果に恵まれず、もがき苦しんでいる仲間が自分のすぐ近くにいたとして、
「がんばって!」と励ましの声をかけることが良いかどうか。
もしかしたら、「もうこれ以上、がんばらなくてもいいんだよ!」と、そっと優しく声をかける方が良いこともあるかもしれない。
しかしながら、いずれにせよ、
誰もが言葉を使って、自分の心に秘めた思いや考えを相手に伝えることには変わりないのだということを、本書は改めて実感させてくれました。
「完璧な辞書を作ることはだれもできないとわかっていても、言葉を使って思いを伝えようとするひとがいるかぎり、俺は全力でこの仕事を為し遂げてみせる。」
(p.72より引用)
このフレーズは、本当にかっこいいと私は思います。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
三浦しをん
- 感想投稿日 : 2012年8月27日
- 読了日 : 2012年8月27日
- 本棚登録日 : 2012年8月23日
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コメント 3件
HNGSKさんのコメント
2012/08/24
HNGSKさんのコメント
2012/08/27
nico314さんのコメント
2012/12/30