タイトルにあるが如し。2人の女性を通して描いた恋情と友情。「盲目的な」とあるように、両者をそれぞれ極限的なかたちで描いている。
大学生のオケを舞台にしているところも、どろどろとした世界に拍車をかけている。少なくとも小説の中では、演奏楽器によってどのパートはどのパートを口説いてよい、等といった恋愛ヒエラルキーが度々描かれているからだ。
レビューでは、人物に共感できないということで低評価も受けている本作品。とりわけ、男には共感も何もないと思う。男が人間関係の中で気づいていても見て見ないふりをするような関係性・心情を、女性たちを通してこれでもかというくらいに描いている作品だからだ。が、わたしは読み手が「共感」できる楽しみというよりも、読み手が「心にずんとくる」作品こそいい本だと思っている。本作は良くも悪くも"そういう作品"だと思う。
救いもなにもないようなかたちで結末まで読み終えた時、恋と友情というそれぞれ剥き出しの「情」に圧迫され、そうしてなぜ本タイトルに「愛」の文字が含まれなかったかを実感することになる。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
文芸・その他
- 感想投稿日 : 2016年11月3日
- 読了日 : 2016年11月3日
- 本棚登録日 : 2016年11月3日
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