庭の桜、隣の犬

著者 :
  • 講談社 (2004年9月29日発売)
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本棚登録 : 390
感想 : 79
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3時間足らずで読了。

時々思うことがある。
親子はもちろん血縁。子どもたち同士ももちろん血縁。
だけど、夫婦は他人だ。どこまでいっても、何十年連れ添っても、私たち家族の中で、唯一、夫婦だけが他人同士。

親子や兄妹は、どうあがいても何があっても、切っても切れない血縁があるけれど、夫婦は紙切れ一枚の契約者同士なだけで、なんの血縁もない。それまで別々の暮らしをしてきた他人同士が、ある時から暮らしを共にするのだから、一筋縄でいくはずがないのだ。

恋愛と結婚は違う。延長線上にあるかもしれないが、恋愛関係に「なる」ことはできても、夫婦は「なる」だけではだめだ。「する」努力をしなければ。
お互いが常に夫婦として努力をすること、それは同じ家に住むことだったり、一緒に食事をすることだったり、相手の家族と付き合うことだったり、夫婦として始めた瞬間から、習慣のようについてまわる小さなことの積み重ね。
夫婦になるということは、夢でも幻想でもない。毎日の生活そのもので、ひとつひとついちいち疑問を持たず、ノルマのようにこなすことが、夫婦をすることの大事な要素の一つなのだ。

つまらないと思うかもしれないが、でも、本当だ。その繰り返しの中で、安心感や満足感、幸福感を感じる、それが夫婦なのだ。

そんな私の漠とした思いを覗かれていたような作品だったと思う。
結婚生活をしたことがないと、ピンと来ないかもね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(日本)
感想投稿日 : 2010年11月3日
読了日 : 2010年11月2日
本棚登録日 : 2010年11月2日

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