ハキリアリ (ポピュラ-サイエンス)

  • 飛鳥新社 (2012年4月19日発売)
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本棚登録 : 162
感想 : 33
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TV番組で特集していたのをチラ見したことがあったせいか図書館で本書が目につき、なんといっても表紙写真の美しさに、まずは借りてみようと手にした。

テキサスにいたころ、小さな葉っぱを傘のように掲げて運ぶアリたちをよく見かけたが、これはやはりハキリアリだったようだ。なんでアリが葉っぱを運ぶのかな~?と思っていたが、菌園のための葉っぱだったのか。

アリが社会性昆虫なのは誰もが承知のことと思うが、ハキリアリほど、複雑に緻密にそのシステムが構築されている昆虫も珍しいようだ。あらゆることがすべてコロニーの発展維持に都合よく進むようにコントロールされており、彼らが育てている菌ですら、コロニー全体の生態系の環の中に取り込まれているというから驚きだ。彼らをして「超個体」と呼ばれるというのも納得。
また、小さな小さな彼らの、脳の神経の働きや、彼らが葉を切り取る時の足に伝わる振動までしっかり計測され研究されていることにもびっくり。
研究者の根気強い取り組みを想像すると頭が下がる。
好きじゃなきゃやってられないだろうな~。

本書はその興味を引く記述だけでなく、美しい写真やわかりやすい図説が非常に豊富で、それを眺めているだけでも楽しい。
実は節足動物、すっごく苦手なんだけど、そんな私でも思わず見入ってしまうような芸術的ともいえる写真が満載。

そして人間の家一軒立てられるくらいのセメントを流し込み巨大な巣の掘りだしが行われた写真など、とても小さなアリの所業とは思えずただただ驚嘆。
う~ん、でもこのコロニーのアリたちはどうしたんだろう。この作業のために全滅しちゃったってことなのかな…?ちょっとかわいそうかも。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説以外(エッセイ・ノンフィクションなど)
感想投稿日 : 2013年9月1日
読了日 : 2013年8月31日
本棚登録日 : 2013年7月27日

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