戦争と平和〈4〉 (1984年) (岩波文庫)

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感想 : 4
3

トルストイが描いた壮大な叙事詩。
エピローグが二編に分かれていて、
一編が長く人生を旅した登場人物たちのその後、
もう一編が社会背景の考察に費やされています。
小説でもあり、教養書でもある、そんな一冊。

全編通して
過去のフランスとロシアの戦争の行方に
それほどの興味は持てなかったので
戦闘部分はほぼ読み飛ばしてしまった。
約3ヶ月かけて
時代を生きる人物たちの感情の移ろいに
注力して読み進める。

個人的な感想を言えば
精神的、物質的嗜好に重きが置かれて
主人公たちにおいて肉体的な欲求が描かれていない気がする。
食欲も、睡眠欲も、性欲も、自然な欲望を避けては
人の生き様は語れないと思うのですが。

誰も彼もが我々より遙かに崇高すぎる。
これはトルストイが理想主義者だからなのか、
物に溢れたいまの世があまりに惰弱なのか。

恋に恋するナターシャの結婚後の豹変ぷりもびっくり。
(エレンみたいになるかと思っていたのに)
そんなものなのかなぁ。

現在の時代では得がたいこの幸福は、
形を変えてどこかに存在しているのだろうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 無印(-ω- )
感想投稿日 : 2012年9月30日
読了日 : 2012年9月30日
本棚登録日 : 2012年9月30日

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