SROⅢ - キラークィーン (中公文庫 と 26-11)

著者 :
  • 中央公論新社 (2011年3月23日発売)
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感想 : 95
4

第1巻「SRO」で逮捕された近藤房子が移送途中に逃亡する。
なので、きちんと内容を把握したい人は最低でも第1巻は読んでおいたほうがいいかと。
連続殺人犯を逃亡させた二人組には、房子を助けなければならない理由があった。
それは思いがけないもので、SROのメンバーにも犯人たちが手助けした意味がわからない。
近藤房子という人間の底知れない怖ろしさがひしひしと迫ってくる。
「怒り」という感情はあるようなので、たぶん他人への共感力がまったく欠落しているのだろう。
他者の痛みや苦しみは、房子にとっては喜びでしかない。
支配し、いたぶり、そして抹殺する。
今回のターゲットは自分を逮捕したSROのメンバーたちだ。
房子は山根や木戸が警察の監視下にあることを知り、陽動作戦にでる。
過去に犯人を射殺した経験のある針谷に対し、捜査一課から木戸の護衛に回された門奈や坊屋はひややかな思いを抱いている。
しかし、威嚇射撃など何の意味も持たない房子のような人間には、瞬時に判断し行動に出なければならない。
後の処罰を懼れていては、守らなければならない人を守ることはできないのだ。
房子は再び社会に戻り、死者の数を増やしていく。
SROのメンバーたちはもちろん、房子と対峙した人間はみな心に傷を負っていく。
これからの惨劇を予想させるようなラストは、次巻への期待をいやでも高めている。
個性豊かなSROのメンバーたち。
ひとりひとりのキャラクターがしっかりとしていて、どのメンバーのどんな行動も説得力があった。
どうやら奇数巻は房子の物語になっているらしい。
房子の強運はいつ途切れるのか?
「SRO4」が楽しみだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 警察小説
感想投稿日 : 2017年3月14日
読了日 : 2017年3月14日
本棚登録日 : 2017年3月14日

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