タイトルから思い浮かべたのは、長寿だった。
鶴は千年、亀は万年。
そして、著者のまど・みちお氏自身も100歳を迎えている。
実際は、ひとつのものが長く生きる物語、とはちがう。
帯にあるように、
<いま>は、<永遠>へとつづいている……
見返しにあるように
あらゆる いのちと
あらゆる ことは
めぐり めぐり
からまりあい
ささえあい
つながりながら
つづいている……
といったことを象徴する世界が展開されている。
本書は、まど・みちお氏の詩「せんねん まんねん」
(初出:1972年 雑誌『びわの実学校』
1973年『まど・みちお少年詩集 まめつぶのうた』(理論社)収録)
に、柚木沙弥郎(ゆのき・さみろう)氏が絵をつけたものである。
詩も絵も存在感があり、
それぞれの強烈な個性が沸々と沸き立っている。
詩自体がダイナミックな生命の営みを描いており、
絵もそれに負けない世界観を表現している。
原色ではないのに、
淡い水彩の世界が、濃いものに感じられるのだ。
このつながりは、単純な食物連鎖だけを描いているのではない。
捕食関係も描いているが、そういった外側だけの関係ではなく、
視点が途中で内側で何が起こっているのかに移っていく。
自分の体の中に流れているものの意味を考える。
途中までは、ゆっくりゆっくり
ひとつのフレーズにひとつの見開きだったのが、
連鎖がひとつの見開きに収まるシーンが出てくる。
ここで急激にリズムが変わり、はっとさせられる。
その次に一息ついて、
「まだ 人が やってこなかったころの」というフレーズ。
それが、人がこの連鎖に及ぼした影響の大きさを物語る。
私たちは、この大きな流れの中のわずかひとしずくで、
それでもこの流れの中につながって確かに生きてきたのだ。
そして、これからも生きていくんだ。
- 感想投稿日 : 2010年1月17日
- 読了日 : 2010年1月17日
- 本棚登録日 : 2010年1月17日
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