1960年代のアンダーグラウンド・コミックの創始者として知られるR・クラムによる創世記。活字・コミックいずれでもちゃんと聖書を読むのはじめてだが期待通り面白かった。内容はアダムとイヴやノアといった有名な逸話の他に、アブラム・イサク・ヤコブ・ヨゼフといった人物が中心の話が続く。基本的に忠実に丁寧に漫画化されているので、「誰々が誰々を生み~」というような(筒井康隆のパロディ「バブリング創世記」といえば読んでなくても思い出せる方もいるだろう)家系図的な部分は正直退屈な面は否めないものの、夥しい登場人物を丁寧に描き分けているところに驚かされたりしてそういったパートも楽しく読む進むことが出来る(本作の絵柄はどことなく諸星大二郎を連想させる。Amazonレビューにも同意見があった)。創作ノートには、作品の時代背景に家母長制度と家父長制度のせめぎ合いを意識していたことが書かれていて、がっしりした女性に対する執着を描いたクラムの作品など思い出し興味深く感じた(笑)。恥ずかしながら最大の発見はモーゼもイエスもまだ出てこないということかな(苦笑)。そういう意味では続きが読みたいが、クラムのは特に無いようなので仕方がないから活字で読むか(本作に4年もかかったというのだからやむを得ないだろう)。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
コミック
- 感想投稿日 : 2011年12月16日
- 読了日 : 2011年12月15日
- 本棚登録日 : 2011年12月15日
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