ランドラッシュ: 激化する世界農地争奪戦

  • 新潮社 (2010年10月1日発売)
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食糧危機の懸念から、先進国を中心に途上国の農地を買い上げ囲い込む、いわゆる「ランドラッシュ」が進んでいる。本書は、なぜランドラッシュが起きるか、ランドラッシュが引き起こす諸問題(環境・人権問題)を取材し、現在の食料システムの問題点や、日本が果たすべき役割に言及している。

二束三文で途上国の土地を巻き上げ現地の農民をこき使うランドラッシュは本書で述べているように「新植民地主義」と呼ばれても仕方ないと思う。韓国の大宇ロジスティクスの土地囲い込みが引き金となり、マダガスカルでクーデターが起きた事件を大きく取り上げていた点は評価できる。当時、日経新聞ですら小さくしか扱っていなかった事件だから。


この本を読めば、食料問題や南北問題について考える契機になると思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会・経済・時事
感想投稿日 : 2011年1月27日
読了日 : 2011年1月27日
本棚登録日 : 2011年1月27日

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コメント 1件

accoさんのコメント
2011/01/29

フェアトレードだとか、外国人の技術習得研修だとか、発展途上国の自立を促すような動きが盛んな中で、このような問題が起きているのは残念。自国農業の保護を考えるのも大事だけど、この本のような問題もしっかり議論していく必要があると思う。

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