本作が手記に近い手法であると理解した時点で、氏の履歴を併読しながら読み進めました。
この頃までに氏が「藁一すぢの自負」となる苦悩をどのように経てきたのかを理解する事こそ、本書における正しい富士の見え方なのだろうと単純に思い至ったからです。
しかしふと振り返り、この曖昧で揺らぎのある富士の情景が果たして「太宰治」という人格を理解されたくて表現されたものだったのか。
実はそれこそ思考放棄で、本来はその時の読み手の気持ちに沿った富士山を映し出させる事こそ本書の目指す所だったのではないか。
考えは尽きません。
中々に深い。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2014年4月19日
- 読了日 : 2014年4月19日
- 本棚登録日 : 2014年4月19日
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