幻の朱い実 下

著者 :
  • 岩波書店 (1994年3月18日発売)
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本棚登録 : 65
感想 : 7
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下巻

結婚後、蕗子のところに行くのもままならない明子。
金銭の問題も絡み、節夫と口論になり(というほどではないところが冷たく恐い)、蕗子のところへ3日間家出する。
しかし家に戻ってみれば、蕗子が節夫に手紙を送っていたことがわかり、複雑な怒りを覚える明子。
蕗子の体調は悪くなる一方で、とうとう入院。

そして節夫の叔父が倒れ、明子が蕗子のところへいかれないタイミングで、蕗子も亡くなってしまう。
前半の蕗子との手紙のやりとりは、とても臨場感がある。手紙は人を表すのだな~と思う。

第三章は、ずっと年月が流れ、明子はもう70代になっている。すでに節夫は亡くなり、子どもの葉子も大人になり、子どもがいる。そしてメインは蕗子の同級生の佐野加代子とのやりとり。二人で蕗子の面影を追う。そして蕗子の恋人であった亘利吾郎の告白。加代子の最期までがつづられている。

本日、この本の編集をされた山田馨さんのお話を聞く。
山田さんは、石井さんと雑談友達のようなものだったそう。二人の共通は、木、草、花しかも雑木、雑草、雑花の類に惹かれるところ、また子どもへの興味だったとのこと。
山田さんは石井さんの運転手で、夏にはいつも追分まで石井さんを送っていっていたということ。
石井さんはまじめだけど、決してとっつきにくいわけではなく、自分のまわりのいろいろなことに興味を持つ5歳児の子どものような方だそうだ。
この本を作るきっかけとなったエピソードなど聞きたかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年6月10日
読了日 : 2015年6月10日
本棚登録日 : 2015年6月10日

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