走れ、走って逃げろ

  • 岩波書店 (2003年7月15日発売)
4.09
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本棚登録 : 38
感想 : 7
4

③内容
・対象: 高、YA
・特色&ジャンル ポーランドのホロコースト
・時代 第二次世界大戦下
・舞台 ポーランド ワルシャワゲットー
・主人公 スルリック・フリードマン
④キーワード
・オススメ 
⑤コメント
・著者情報 Uri Oriev ウリ・オルリブ
ヨラム・フリードマンに聞いた話がもと。
1939年9月1日、彼が5歳のときに第二次世界大戦が勃発、ポーランドはナチス・ドイツに占領された。

・出版情報  オリジナル2001年 日本2003年


・翻訳の場合は原題 RUN BOY, RUN

・背景

8歳のスルリックはユダヤ人。第二次大戦下のポーランドワルシャワゲットーに父、母、姉と兄たち(ひとりはダヴィド)と暮らす。ゲットー内では、食料がなくゴミ箱を漁る日々。ゆっくり飢え死にしていくより、なんでもためしたほうがいいと、脱出を試みる。以前住んでいたブオニェへ向かおうと。以前そこでパン屋だった。
しかし、父とはぐれ、母はその後に行方不明。兄ともはぐれ、8歳のスルリックはひとりぼっちになってしまう。
途中で出会った父との会話、
P102「これからいうことを、しっかりぜんぶおぼえるんだ。おまえは生き残らなくちゃいけない。どうしても、だ。キリスト教徒としてどうふるまったらいいか教えてくれる人を見つけて、十字の切り方やお祈りをおぼえるんだ。そうすれば、戦争がおわるまでどこかの農家にいさせてもらえる。いつも貧しい人たちのところに行くんだよ。貧しい人たちのほうが助けてくれる。それから、ぜったい、ほかの子どもたちと川で水浴びしちゃいけない」
「自分の名前を捨てろ。記憶から消すんだ」
「だが、ぜんぶ忘れても、父さんや母さんを忘れても、自分がユダヤ人だということは決して忘れちゃいかんぞ」
それから、生きるために農村や森などあちこちを彷徨い、戦争を生き抜く。その中で片腕を失い、記憶を失う。

ところどころに出てくるユダヤ人の習慣が興味深い。
例えば
P56裁きの日に魂が爪をさがさないように、切った爪は焼く。

セデル~ペサハの食事

また、キーワードにもなっている「名前」が面白い。

スルリック ユダヤ人
ダヴィド(兄) ユ
スタニャクさん(ブオニェの商店)
ファイゲ(上の姉)
モイシェ ゲットー内のサッカー仲間 盗み
ヤンケル 〃
ヨイネ靴屋

シュレメ 森の仲間
アブルム  〃
ヤツェク  〃  もどってこなかった
イツェク  〃
ヨサレ

ユレク~森からはぐれてひとりになったスルリックが初めて会った農家の幼子の名前 男に捕まるが、女の人が逃がしてくれた

ノヴァク~農家 牛を持っている

マリシャ~牧草で出会った女の子12歳 レンズをくれた

パルチザンを夫に持つ女性、キリスト教徒の祈り方を教えてくれた

ヴルベル一家
 主人マテウシュ
 妻マーニャ
 長男ヴィクトル
 次男フランク
 
ジグムント 土地の子ども、スルリックをユダヤ人と見破る

ユゼフ・ヴァプイェルニク 牛飼いを探している
  妻と三人姉妹
アゾール 犬

神父
マルタ 年配の女性

ユダヤ人の屋敷を接収したドイツ士官

フラウ・ヘルマン夫人

ジュラプスキ博士

ヴェルナー ドイツ兵士

馬車の兵士

スタニスワフ・ボグタ
  次女マリナ
  長女クララ

グジェゴシュ 大工

サーシャ軍曹 ロシア軍

ヴォイチェフ・ヘルカ
   ヤン
   娘クリスティーナ

タデク 子ども

コヴァルスキ 鍛冶屋

イェジィ・スタニャク(発音)

モシェ・フレンケル

ラパポルト

フリードマン一家
ファイゲ上の姉
マルカ下の姉
ヨセフ上の兄
ダヴィド下の兄
父ヘルシェ
母リヴァ

ソーニャ

地名
ヴィクワ川
ブク川
リヴィエツ川
カンピノスキの森





アクツィア~移送、強制収容所へ送ること
『ふたつの名前を持つ少年』
http://www.futatsunonamae.com/

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年5月20日
読了日 : 2015年5月20日
本棚登録日 : 2015年5月20日

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