新装版 坂の上の雲 (8) (文春文庫) (文春文庫 し 1-83)

著者 :
  • 文藝春秋 (1999年2月10日発売)
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感想 : 346
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四国を旅行してから興味を持ち、
時には少しずつ、時には一気に読み進めて
ついに文庫版全8巻読破しました。

愛媛県松山出身の秋山兄弟と正岡子規を主人公に
日露戦争から見る日本を描いた作品

初めての歴史小説、初めての司馬遼太郎
感想がいろいろありすぎるけど特に思ったことを

「戦争とは買っても負けても虚しいもの」
これは本文中にあった言葉

それぞれの大将、東郷とロジェストウェンスキーが
最初で最期の対面をするシーンで、本当にそう思った

失敗すれば国や大量の命がなくなるという
超ハイリスクを背負っているのに
ほとんどそのリターンが見込めないのだから
(その当時の民衆は開戦気分で気づいていなかったけど)

「適材適所の重要性」
この小説読んで強烈に思ったこと

人には性格とか立場とか思想とかいろいろある
どんなに完璧に見える人でも短所や不得意なこともある
目立たないやつが役立たないとは限らない

役割を与えられて生き生きする人がいれば、
立場にあぐらかくやつもいる

せっかく能力を持っていても場所が悪ければ活かせない
場所がよければわずかな特技が活かせるかもしれない

日本という国の存亡をかけて
今じゃ考えられないほど莫大な量の
人やものやお金を投入したこの戦争

ロシアという強大な国となんとか渡り合うには、
できるだけ正確に、そして臨機応変に
作戦を遂行しなければならない

そんな超巨大プロジェクトで最も重要だったのは
どこにどんな人を配置するかだと思った

あと最後、「謙虚でいることの難しさ」も

この巨大な作戦遂行の歯車をなんとか
きちんと噛み合ったままにしたのは
東郷や好古が持っていた謙虚さにあるような気がする

まだまだ感想は語り尽くせないけどこのへんで
歴史の授業で習う部分なんて、出来事全体の
0.1% ぐらいにしか満たない情報量なんだろうな
これをまとめあげた作者は本当に超人的

作者の40才代がこの作品の調査・執筆のために
ほとんど費やされたというのも納得です

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2016年2月7日
読了日 : -
本棚登録日 : 2016年2月7日

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