ミラクル 『彼ごはん』で夢をかなえた私の物語

著者 :
  • 宝島社 (2010年7月8日発売)
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感想 : 13
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レシピ本「作ってあげたい彼ごはん」シリーズは若い女性を中心に大人気となっている。その本の著者SHIORIが、失意のどん底から夢をつかむまでのエッセイ。

「作ってあげたい彼ごはん」は実は私の原点である。大学入学とともに一人暮らしを始め、自炊にも挑戦した。ほどなく料理に目覚めた私が手に取ったのがこのレシピ本である。料理ビギナーにもわかりやすくて少ない材料で簡単に作れるレシピ、女の子のハートをぐっとつかむかわいいスタイリングで料理が何倍も楽しくなった。著者も同年代でとても親近感を覚えている。
若くして大人気レシピ本を出版するなんて、どれだけすごい人なんだと思っていたが、この本を読んで普通の女の子だったんだと驚いた。中学生の頃から付き合っている大好きな彼氏が世界の中心で、その人との結婚に憧れる女の子。仕事なんて結婚までの腰掛でいいやと思って就職活動に臨むも、当然内定ゼロ。しかも彼氏にふられて、この世の終わりかと思っていたときに見つけた夢。それが「フードコーディネーターになり、はじめて料理をする若い女の子の為の料理本を22歳までに出版する」というものだった。
そこからの彼女の行動力がすごい。22歳の誕生日まで、とにかく時間がない。フードコーディネーター養成スクールに入って勉強しながら、出版社に企画を持ち込む。mixiで自分の想いを発信する。アシスタントとして日々忙しく働きながらも、自分の夢の実現に向けて努力を惜しまない。そして22歳の誕生日の9日前に夢を叶えたのだ。

“夢を叶えるために努力する”そのすさまじいパワーを感じた。普通の女の子でも、やる気になればどんな事だってできてしまうという著書のメッセージはしっかりと伝わった。「フードコーディネーターSHIORIができるまで」を綴った箇所はとても勇気をもらえるものだった。
しかしエッセイの最後は蛇足な気がした。「SHIORIの素」として家族やアシスタント、友人への感謝を綴っているのだが、自己満足な印象を抱いた。たくさんの人に支えられて今があることはよくわかるし、感謝したい気持もわかるが、「感謝の気持ちを忘れない私」を読者へ見せつけているような感じがして、最後にしらけてしまった。そういうことは表から見えないところでやってほしい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 生き方
感想投稿日 : 2014年6月28日
読了日 : 2014年6月21日
本棚登録日 : 2014年6月21日

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